勃起は陰茎海綿体が血液で充満され、容積が増大して硬くなった状態をいう。尿道や陰茎亀頭部に加えられた知覚刺激は陰部神経を経由し、膀胱、前立腺、精嚢などからの深部知覚は骨盤神経を経て脊髄勃起中枢に伝えられ、これらの刺激は遠心性に骨盤神経を経由して陰茎支配血管系に伝わり、勃起がおこる。
このような反射弓によっておこるものは反射性勃起とよばれている。一方、嗅覚、聴覚、視覚、イメージのような性的刺激が脳幹部を経て脊髄の勃起中枢に伝えられ、ここから勃起神経(骨盤神経)を経由して陰茎の血管系に伝わり、勃起がおこる。このような性的興奮を伴う勃起を精神性勃起あるいは色情性勃起とよんでいる。
従来、早朝覚醒時の勃起は、膀胱に尿が充満するためにその刺激で反射的におこると考えられていたが、近年の研究ではレム睡眠期にみられる勃起の名残が続いているものと理解されるようになった。勃起はさまざまな心理的原因によって抑制されるし、器質的な原因、たとえば内分泌疾患、あるいは骨盤内臓器、脳脊髄疾患や脊髄損傷の手術などによる末梢神経損傷などによっても勃起不能に陥ることがある。
また、性的興奮を伴わず長時間勃起が持続することがあり、これを持続勃起症とよび、一般に疼痛を伴う。原因は不明のこともあるが、最近ではインポテンスの治療の目的で血管作動薬を陰茎海綿体内に注射することによって引き起こされていることが多くなった。このほか、中枢神経疾患、白血病、腫瘍、海綿体の炎症などに伴ってみられることもある。
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